
私が、学生の頃は、尾道の海岸通りには、魚屋さんや乾物屋さんなどが所狭しと並んでいて、商店街には、取れたての魚を荷車に乗せて歩く行商の方がたくさんいました。
いまは、海岸通りもきれいに整備され、週末には多くの観光客で賑わう様になりました。
しかし、平日は、やはり物静かな街なみで、商店街を歩いても、店頭にお店の方が呼び込みをしているわけでもなく、客足もまばらなため、非常に寂しく感じます。
ラーメン屋さんなどの一部の商店では、「尾道」というブランドの恩恵を享受して、繁盛店となっているところもあるようですが、私は、この「尾道」というブランドを街全体の商店が継続的に恩恵を受けるためにも、是非、人材育成に力を入れて頂きたいと考え、常々、どのようにアプローチするべきかを思案しております。
今回ご紹介する「フィッシュ!」は、海に囲まれた街である「尾道」にもぴったりのテーマではないかと考えております。
「フィッシュ!」って何?
シアトルの小さな魚市場にある魚屋さんで働くある従業員の「有名になりたい!」という突拍子もない一言により、世界一有名な魚屋さんになり、シアトルの観光名所の1つになったという実話から学んだ組織活性化を図るための哲学です。
2002年に大きな医療事故を起こした「慈恵医大病院」では、職員のモチベーションが下がる一方で、退職者が続出、患者数も減少している中、信頼を回復するために導入したのが、「フィッシュ!」でした。
「慈恵医大病院」では、この「フィッシュ!」に時間をかけて取り組むことで、退職率の低下、新人定着率の向上、職務満足度の向上に大きく寄与したと言われています。
「フィッシュ!」の目的・効果
導入の目的は、ズバリ「楽しく働く」ことです。
そして、導入効果として、①退職率の改善、②新人定着率の向上、③従業員満足度の向上、④顧客満足度の向上を図ることが期待できます。
「フィッシュ!」哲学の基本原則
1.仕事を楽しむ
成功の秘訣は、仕事に遊び心を取り入れ、意識して仕事を楽しくすることです。
2.相手を楽しませる
お客様や同僚に対しての対応を考え、相手の期待を超えたサービスやサプライズを考えて実行することです。
3.相手と向き合う
いつでもお客様や同僚の言動に集中することです。
4.態度を決める
どんなふうに仕事をするかを決めるのは、自分だということです。
「フィッシュ!」がなぜ経営に必要か?
企業が業績を向上させるためには、従業員の能力の向上が不可欠ですが、従業員【種】の能力が向上【芽がでる】しても、企業風土【肥料】がよくなければ、飛躍的に業績の向上を図ることはできません。また、そのような企業風土では、育った従業員も最終的には離職【枯れる】してしまいます。
フィッシュは、この企業風土を活性化、改善するために必要な哲学なのです。
人事の3大原則である「採用」「教育・育成」「評価」をPDCAサイクルで上手にやりくりすることで、企業の業績を向上させることができると考えておりますが、労働人口の減少や若年層の都市部への流出により、「採用」から「教育投資」へ戦略転換する必要があり、この「フィッシュ!」導入より、組織を活性化することが、企業の業績を向上させるきっかけになると考えております。