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歴史から学ぶ人材育成『小早川隆景編』

2016.06.16

歴史から学ぶ人材育成『小早川隆景編』

日本の伝統的なテレビ番組と言えば、NHKの朝ドラと大河ドラマを思い浮かべる方も多いと思いますが、歴史を題材にした大河ドラマは大人だけでなく、子供が興味をもつ題材も多いと思います。
今年の大河ドラマは真田信繁を題材にした「真田丸」ということですが、私は個人的に歴史には疎い方で、受験勉強程度の知識も最近ではほとんど忘却の彼方へ消え去ってしまい、有名な歴史上の人物の名前を知っている程度なので、真田信繁と言われてもいまいちピンとこないというのが正直な感想です。
どちらかと言えば、真田幸村(=信繁)を主人公に架空の忍者などの家臣などが登場する群像劇を描いた真田十勇士という小説をモチーフにした歴史まんがが小学校にあったので、非常に馴染み深く、懐かしく感じております。

城下町・三原のにぎわい

私が住んでいる三原市には、約30年以上前、駅前の目と鼻の先に「天満屋」と「ニチイ」という百貨店が2棟並びあっていて、週末には多くの買い物客が押し寄せ、屋上遊園地には、家族連れのお客さんでにぎわっていたことを、幼少の頃の思い出として頭の片隅に残っておりますが、いまはその名残もなくなり、非常に寂しい駅前になっております。
そんな三原の駅前周辺は、その昔、戦国時代に豊臣秀吉の家臣として手腕を発揮したと言われている小早川隆景の城下町だったそうで、駅の周りには城跡の石垣とお堀が今でも残っており、わずかながらその名残を感じることができます。
また、2月に3日間開催される「神明市」には、約30万人の人が足を運び、三原市の活気を唯一感じることができるイベントとなっておりますが、この「神明市」では、小早川隆景がその人出の行き交うにぎわい模様をみて、その年の豊凶を占ったともいわれているそうです。

人の心に響く行動

このあまり馴染みのない小早川隆景ですが、実は中国地方を治めた毛利元就の三男であり、大河ドラマの題材として主人公となった黒田官兵衛とも非常に縁が深いことで知られているそうです。
この隆景という人は、いまでいうところのEQが非常に高かったといわれる人物で、頭の知能指数を示すIQと異なり、EQとは「こころの知能指数」とも呼ばれ、どれだけ相手の立場に立って物事を考えることができるかという感情察知力、また自身の感情をいかに抑制できるかという感情コントロール、そして対人関係のスキルなどを総合的に評価する指標だといわれるもので、ビジネスにおいても、EQが高いことが、対人折衝する機会の多い営業部門やサービス業に従事する人にとっては、非常に重要とされております。
大河ドラマで主人公となった黒田官兵衛は、非常にIQが高く、ドラマで描かれているとおり(実際、視聴してませんが・・・)、軍師と言われるほど、頭の相当切れる人物であったのは、ご存じの方も多い思いますが、あまりに頭が切れるために、多くの武将から警戒されていたようです。

エピソード1

まだ、豊臣秀吉が天下統一という野望を口にできない程の地位であったとき、織田信長が明智光秀によって暗殺されたという情報をキャッチした黒田官兵衛は、豊臣秀吉に伝えた際、「これであなたの天下ですね」とにやりと笑って伝えたと言われています。
豊臣秀吉にしてみたら、確かに天下統一という野望はあったにしても、いまこの状況でそんなことを口に出して言えるほどの地位もなく、迷惑な話であったため、それ以来、豊臣秀吉は黒田官兵衛のことを生涯にわたって警戒することになったと言われています。
頭が切れるため、先を見据えて物事を判断することに長けていた黒田官兵衛ですが、カンが鋭く、決断が早いため、物事の本質をすぐに感じとり、結論を出すため、いささか後悔することも多かったようです。
その点、小早川隆景は、決断するまでに、十二分に時間をかけ、考えた上で決断するため、黒田官兵衛に対して、「カンだけを頼り、すぐに決断するため、後悔することが多いのは、決断する前の時間のかけ方に問題があるのではないでしょうか。」と進言したと言われております。

エピソード2

また、小早川隆景が部下の武士に「これから言うことを急いで文書に書け」という命令したことに対して、慣れない者は、隆景に命令されるという感動と興奮でアガってしまい、ブルブル震えて文字が書けなくなってしまったことに対して、普通の上司であれば、「何をしているんだ!」と叱責したり、嗜めたりするところでしょうが、隆景は、「急いで書くことはない。筆を硯箱に戻し、目を閉じて十数えない。そうすれば、気分が落ち着くでしょう」と言ってほほ笑んだと言います。隆景は幼少の頃から非常に苦労をした人物で、常に相手の立場に立って物事を考える習慣が身についていたため、このような言動により、部下の心を掴んでいたと言われています。

EQを高めるためには

ビジネスにおいても、信頼関係を築くためには、相手の立場に立ち、よく考えながら、コミュニケーションすることが重要であり、他人をコントロールするのではなく、相手から学び、共感し、そして信頼関係を結んでいくことが重要です。コミュニケーション能力を向上させる場合もそうですが、仕事のできる人の行動特性を学ぶ際、お客様でも、同僚や上司でもよいので、身近な、お手本となる魅力的な人を見つけ、真似しながら学ぶことを実践し、次第に自分自身のオリジナルとして変化させることで、EQを高め、相手との信頼関係の構築に役立てて頂きたいと思います。