
当事務所では、企業経営の業績向上や組織を活性化させるための人材教育や人事評価のご提案をさせて頂く際、コンピテンシーを活用します。
多くの人にあまり馴染みのないこの「コンピテンシー」ですが、簡単にいうと、「仕事のできる人の行動特性」という意味になります。つまり、行動やプロセスを重視し、仕事のできる人の具体的な行動を教育や評価に採用することにより、個人の能力だけでなく、会社の業績を向上させるための考え方です。
コンピテンシーとマニュアルの違いは、マニュアルはあくまでも「標準者」にスポットを当てた具体的な行動例であり、多くの人が標準者としての行動ができるようにするものであるのに対して、コンピテンシーは「仕事のできる人」にスポットをあて、標準者の能力をさらに引き上げるものと考えられています。
観光都市・尾道市で感じる人材育成の重要性
私は、大阪の事務所で約4年間、修行し、地元である尾道で約10年前に開業したわけですが、大学に行くため、尾道を離れたころと比較すると、尾道駅前も開発がすすみ、昔の面影がないくらい様変わりしたように思います。
特に尾道ラーメン店が増えたこと、海岸通が整備され、若い人が経営する雑貨屋さんや飲食店が増えたこと、そして、外国人や県外の方が自転車でしまなみ海道をサイクリングするサイクリストが増え、多くの観光客でにぎわいを感じるようになりました。
しかしながら、一方で高齢化が進み、昔ながらの商店街には空きテナントが目立ち、細い路地や坂道の多い場所には、多くの空き家もあり、深刻な問題となっているようです。
また、観光都市にもかかわらず、たまに飲食店などへ入ると、接客の対応などおもてなしに欠けるお店があり、非常に残念に感じることがあります。
特に、昔ながらのお店というのは、都市部でもそうですが、料理がおいしく、宣伝効果も功を奏し、がんこな大将のお店や私語を禁止するこだわりを売りにしているお店でも繁盛しているところもあり、また、それを好む人もいるのは事実です。
私は、研修の際に、お伝えすることは、企業経営を成長させるためには、よい商品、よいサービスの提供は絶対ですが、いくらよい商品やサービスがあっても、それらを提供する基盤がなければ、業績を上げることはできません。つまり、よい商品、サービスを提供するためには、人材の育成が必要不可欠であり、人材の育成こそが企業の業績の向上、組織を活性化させるというわけです。
感動ではなく、「ちょっといい気分に」を目標に!
コンピテンシーの研修の際、それぞれの業種や職種で、仕事のできる人の行動を具体的に考えて頂きますが、皆さんにご紹介するこんな事例があります。
車のディーラーさんのコンピテンシー作成の際の事例ですが、ショールームレディーが接客する際に、こんなコンピテンシーを具体的な行動として取り上げました。
- 小さいお子さんと接するときには、しゃがんで目線を合わせて、声をかける
- 2度目の来店の際、名前を呼んで挨拶する(名前を覚えている)
- 来店後には、直筆でお礼のお手紙を送る
見て頂いてわかるように、このディーラーのコンピテンシーは決してウルトラCではなく、あたりまえのように感じるかもしれません。
しかし、こういう当たり前のことの積み重ねで、お客様を「ちょっといい気分」することができ、継続することで、業績の向上に繋げるというわけです。
これは、ディーラーのオーナーが「東京ディズニーランド」でやっていたことを勉強して、取り入れた考えということのようですが、今でこそ当たり前になりましたが、10年以上前にカストーディアル(いわゆる掃除夫)の方が、お客様に、「写真をとりましょうか。」と声を掛けたり、掃除モップでミッキーの絵を描いてお客様を楽しませるなんてことをやっていた企業というのは、皆無でした。このようにお客様を楽しませ、「ちょっといい気分」にすることで、また行きたいと思わせる地道な活動が、リピーターを増やしていることに繋がっているのです。
もちろん、「東京ディズニーランド」という商品に魅力があるのは、いうまでもありませんが、やはり、一人ひとりのキャスト(役者)が役を演じ、お客様を楽しませる教育を受けているからこそ、先のような行動ができるというわけなのです。
コンピテンシーも同じ考えというわけです。ウルトラCはないですけれども、お客様を「ちょっといい気分」にさせる行動をし、継続することが非常に大切だということなのです。
尾道の未来について
昨年は、やまなみ海道の開通も相まって、尾道への観光客もさらに増加しているようですが、今後も継続的に観光都市として日本国内だけでなく、海外からも多くの観光客が尾道を訪れることを期待し、一つ一つの企業だけでなく、ひとりひとりが観光客、お客様に対して「ちょっといい気分に」なってもらえるような行動ができるような取り組みをして頂けるよう研修のご提案、ご支援したいと考えております。