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広島カープと企業における人材育成の共通課題

2016.05.17

広島カープと企業における人材育成の共通課題

企業経営において、人材は必要不可欠の要素ですが、殊に教育制度が構築されている中小企業があるかというと、極めて少数であると思います。そもそも、教育、研修すら行っていない中小企業の方が多いのではないでしょうか。

特に職人のような職種が多い製造業においては、技術は盗むもので、「見て覚える」、「1教えたら10まで知る」というような指導が当たり前のように行われているように感じます。

確かに、言っていることには一理あります。よいものを見てマネをして、それを繰り返し、技術を向上させ、変革させることが企業の発展に繋がることは間違いありませんが、その教え方や方法、つまり教育の仕方に問題があると考えております。

広島カープの人材育成

最近、私の息子が、野球に興味を持ちだし、毎日のように広島カープの試合経過を気にしたり、翌日の結果を必ず確認するなど、早くもカープ男子としてカープ人気を支える一員となっております。

広島東洋カープは昔から選手の育成に定評のある球団と言われておりますが、それは、監督やコーチであったり、スカウトであったりといったスタッフだけでなく、球団の選手を育成する環境や仕組みができているからではないかと思っています。

国内だけでなく、ドミニカ共和国の野球スクール「カープアカデミー」で育成を行い、スクール出身のソリアーノやチェコ、ペレスなどはメジャーリーグにおいても一流選手として活躍する選手を輩出しております。

最近では、黒田博樹や前田健太のように、広島カープ出身の選手がメジャーリーグで活躍することで、広島カープの選手の育成方法にメジャーリーグも注目しているようです。

しかし、選手の年俸が高騰し続け、市民球団であるがゆえに資金的な問題は、球団の企業努力では賄いきれない事情もあり、約20年前から始まったFA制度の導入により、いわゆる生え抜き選手の流出に対して、広島カープは一番多くの影響を受けた球団ではないでしょうか。古くは、川口和久から始まり、江藤智、金本知憲、新井貴浩、そして黒田、前田などなど、広島カープが育てた一流選手、それもエースや4番を失い続けた球団が他にあったでしょうか。

ここ数年のカープ人気はすさまじく、非常に喜ばしことです。これは、やはり球団の企業努力やいまだに続いている選手育成により魅力ある生え抜きの選手を育てているからこそ、ファンが応援し続けているのだと思います。そして、そんなファンがいるからこそ、黒田や新井のように他球団へ移籍しても戻ってきたいと思わせる魅力ある球団なのかもしれません。

企業における人材育成計画の必要性

当事務所でも、さまざまな企業へ人材教育のご提案させて頂いておりますが、正直なところ、教育の導入で業績が飛躍的に向上するかというと、それだけでは難しいと思っております。

やはり、企業経営においては、根本的に「よい商品、よいサービス」がなければ、業績というのは、向上しません。

しかし、いくらよい商品、よいサービスがあったとしても、それを提供する基盤がなければ、業績は向上しません。だからこそ、企業経営において、人材の育成は必要不可欠の要素というわけです。

さらに、人材の育成を行うことで、よい商品、よいサービスというものを生み出すことも可能とするわけで、企業経営において、商品開発と人材育成は表裏一体として取り組む必要があるのではないでしょうか。

だからこそ、人材不足や定着率の問題で悩んでいる中小企業こそ、積極的に人材育成に取り組んでいかなければならないと考えております。

まとめ

企業において、魅力ある会社にするために、将来のビジョンを見据え、中期的に人材育成を行う計画を作成し、実施すること、そして最終的に社内大学を作り、教育システムを内政化することで、魅力ある企業として成長し、採用活動や人材育成に絶大な効果をもたらすと考えております。

野球でも、よい選手がいなければ、よい成績を残せないのは事実であり、よい人材をいかに確保し、育成していくかという問題は、企業経営においても共通の課題だと思います。